「また旅行？」
「よく行くよね」──そんなふうに思ったこと、ありませんか？
SNSには、週末ごとに旅へ出かける人、連休ごとにどこかの絶景にいる人。
いつも旅先の写真を投稿している姿を見て、「いいなあ」と感じつつ、どこか不思議に思ったことはないでしょうか。
「なぜそんなに旅行に行くの？」
「現実が嫌なの？ それとも、刺激がほしいだけ？」
この記事では、そんな「旅ばかりする人」たちの心の奥にある想いや心理を、やさしく、ていねいにひもといていきます。
そして、後半では、旅を通して見えてきた“自分との対話”や、旅に出る人を見送る立場からの視点にも触れながら、旅の持つあたたかい力を感じてみたいと思います。
「わかる」も「わからない」も、すこしだけやわらかくなれる時間になりますように。
なぜそんなに旅行に行きたくなるの？
「また旅行？」
「そんなに旅ばかりして、疲れないの？」
そう思ってしまうこと、ありませんか？
けれど、旅に惹かれる気持ちは、ただの“気まぐれ”や“娯楽”とは少し違います。
その奥には、その人自身の価値観や、心の奥の声が隠れていることも。
ここでは、“旅に出たい”と感じるときの心理的背景を、いくつかの視点から深く探っていきます。
“今ここ”を取り戻すための旅
慌ただしい毎日。
気づけばスマホを見ながら朝ごはんをかきこみ、終わらないタスクに追われて、夜はぐったり。
そんな日々を繰り返すうちに、
「何をしているのか分からない」
「ただこなしているだけ」
と感じることって、ありますよね。
そんなとき、人は「旅に出たい」と思うことがあります。
旅先では、
✔ごはんを味わって食べる
✔景色をぼんやり眺める
✔ただ風に吹かれているだけで心が落ち着く
それは、自分の感覚が“今ここ”に戻ってきているサイン。旅とは、忙しさに飲まれて見失いかけていた「自分の感性」を取り戻す時間でもあるのです。
「このままでいいの？」という違和感に、旅が応えてくれる
毎日きちんと生きているはずなのに、どこか落ち着かない。人間関係、暮らし、働き方…すべてに“しっくりこなさ”を感じる。
そんなとき、人は「ここではないどこか」に惹かれます。
✔もっと自由になりたい
✔本当はこんな日常を望んでいなかった
✔自分が“生きてる実感”を、別の場所で確かめたい
旅は、そんな心のざわつきに「答え」ではなく、「ヒント」をくれます。
ときには「自分、これでよかったんだ」と安心できたり逆に「やっぱり違うことがしたい」と気づいたり。日常と距離を取ることで、自分の本音と再会できるのです。
旅先では、抑えていた感情がほどけていく
旅先では、ふと涙が出たり、笑顔が止まらなくなったりすることがあります。
✔知らない景色の中で、言葉にならない想いがあふれる
✔ふだんなら無口な人が、急にたくさん話し出す
✔子どものように無邪気になれる瞬間がある
これらは、日常で抑えていた感情が、解放されたサイン。
がんばり屋さんや、まわりに気を遣いすぎてしまう人ほど、“心のふた”を開けるのが旅先だったりします。
「旅って、心のリハビリだね」
そう言った友人の言葉が、とても印象に残っています。
“旅の予定”があるだけで、日常が少し軽くなる
「来月の3連休、あの場所に行こう」
そう思えるだけで、今が少しだけ明るく感じられる。
✔忙しい日々も、「その日までがんばろう」と思える
✔嫌なことがあっても、「旅で切り替えよう」と思える
✔“未来の楽しみ”があるだけで、呼吸がしやすくなる
旅そのものが大事というより、
“旅を楽しみにしている時間”こそが、日々の支えになることもあります。
「旅行に行くから元気なんじゃなくて、旅行があるから元気でいられる」そんな人も、実は少なくないのです。
「自分だけの体験」がほしい
今の時代、どんな景色もSNSで見られるし、評価も“星の数”でわかります。けれど、それでも人が旅に出るのはなぜでしょうか。
それは、
「自分の五感で感じたことこそが、記憶に残る」から。
✔同じ観光地でも、晴れている日と曇っている日では印象が違う
✔写真では伝わらない“におい”や“空気感”がある
✔「このとき、この景色を見ていた自分」の気持ちは、誰にも真似できない
旅の価値は、“情報”よりも“体験”の中にあります。
そしてその体験は、人生のなかで自分だけの宝物になるのです。
旅先の“刺激”が、思考や感性を動かしてくれる
毎日が同じルーティンだと、安心感はあるけれど、だんだん“感情の起伏”が少なくなってきます。
そんなとき旅に出ると、
✔異文化に触れて驚いたり
✔言葉が通じず戸惑ったり
✔はじめての景色に圧倒されたり
さまざまな刺激が、自分の中に“風”を吹き込んでくれます。
「今のままでいいのかな」
「もう少し、違うこともしてみたいな」
そう思えることは、変化を受け入れる心の柔軟さのあらわれ。
旅は、そうした「人生のチューニング」にもつながっていくのかもしれません。
旅は、心の“余白”を取り戻す方法のひとつ
いつの間にか、私たちは“詰め込みすぎ”ているのかもしれません。
✔情報
✔人間関係
✔タスク
✔義務感
それらを一度ぜんぶリュックから下ろして、「本当に必要なものってなんだろう」と問い直す時間。旅は、そんな“心の整理整頓”のような役割を担っているように思います。
✨旅に惹かれるのは、「生き方」に素直になっている証かもしれない
旅に出たくなるのは、心が「風を通したい」と感じているサインかもしれません。
誰かに「また旅行？」と言われたっていい。
それは逃げじゃなく、“回復”であり、“探求”であり、“自分を守る術”でもあるのです。
旅が教えてくれるのは、
「世界は広くて、あなたは自由」だということ。
そして、どこへ行っても「自分を生きていいんだよ」と、そっと背中を押してくれるような、そんなやさしさなのかもしれません。
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旅行タイプ別・性格診断｜あなたはどの“旅人”タイプ？
ここからは、ちょっと視点を変えて。
旅に惹かれる人の「旅行スタイル」から性格傾向をチェックしてみましょう♪
🗺️【タイプA】リュック一つでどこでも行ける“自由人”タイプ
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思い立ったら即出発！
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行き先はその日の気分次第
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ひとり旅も大好き
性格傾向：
→自由を愛する好奇心旺盛タイプ。枠に縛られず、自分の価値観で動くのが得意。ルールより「感覚」が優先。
🌆【タイプB】ホテルや観光を事前にばっちり調べる“計画派”タイプ
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スケジュール表まで作るのが楽しい
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安心できる宿泊先＆美味しいもの重視
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突発的なトラブルは苦手
性格傾向：
→しっかり者で準備上手。現実的だけど、実はロマンチストな一面も。安心と快適さを大事にする慎重派。
🌄【タイプC】自然の中で深呼吸したい“癒し重視”タイプ
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山や海、湖など自然が好き
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観光地より静かな場所に惹かれる
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旅先では読書や瞑想も
性格傾向：
→繊細で感受性が豊か。人の多い場所が苦手で、静かな時間を大切にする。内省的で、人との距離感に敏感。
✈️【タイプD】“次の旅”が人生のモチベーション！未来志向タイプ
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帰ってすぐ、次の旅の計画を立てる
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マイルやポイントを駆使してる
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日常も旅気分で暮らしたい
性格傾向：
→行動力とエネルギーが高め！「目標」があることで頑張れるタイプで、旅は未来への投資と捉えている人が多め。
🧳【番外編】“旅が自分の居場所”になっているタイプ
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どこにいても馴染めてしまう
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引っ越しや移動も抵抗なし
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「定住」に興味がない
性格傾向：
→“根を張らない”生き方を好むタイプ。新しい場所での出会いが好きで、変化を楽しめる柔軟性がある。ちょっぴり“浮遊感”のある不思議な魅力。
どれか当てはまるタイプはありましたか？
旅のスタイルって、まさにその人の“心の居場所”や“価値観”を映す鏡なんですね🪞
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もしかして「旅行依存」？その境界線とは
もちろん、何事も“バランス”が大事。あまりに旅行ばかりだと、「依存してない？」と感じることも。
心のバランスをとるための旅
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旅が終わると、どっと気持ちが沈む
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何か嫌なことがあるたび、旅に逃げたくなる
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日常がつまらなく感じてしまう
こんな場合は、少し“依存の傾向”があるかもしれません。けれど、だからといって旅が悪いわけではありません。むしろ、その人にとっては必要な“調整時間”なのかもしれないのです。
人生を豊かにする選択としての旅
一方で、旅をライフワークのように楽しんでいる人もいます。
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自分の価値観を広げたい
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日常では得られない刺激が好き
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旅があることで生活がより豊かになる
そんな人は、旅に振り回されず、自分軸で生きているタイプ。旅が“逃げ場”ではなく“栄養”になっているのです。
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旅行ばかり行く人への“ちょっとした理解”
※美術館で絵画を見ている女性のイラスト
旅に出る頻度が多い人を見ると、つい
「自由でいいな」
「よくお金あるね」
「また行ってるの？」
と思ってしまうこともあるかもしれません。
でも、その背景にある“心の動き”を少しだけ想像してみると、見えてくるものがあります。
実は、繊細でがんばり屋な人が多い
旅に頻繁に出る人は、「現実から逃げてる」と思われがちですが、実際には、日常をすごくがんばっている人も少なくありません。
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仕事で気を張っている
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人間関係に気を遣いすぎて疲れている
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家族のために時間を費やし、自分の時間がほとんどない
そんな日々の中で、やっと取れた休みに「旅に出よう」と思えるのは、むしろ“自分を回復させる力”がある証なのかもしれません。
旅は、「もうひとがんばりするためのチャージ」だったりするのです。
旅は、孤独と向き合う手段でもある
ときどき、「旅ばかりしていて孤独じゃないのかな？」と思うこともありますよね。
でも実は、旅に出る人のなかには
「孤独だから旅をしている」のではなく、
「孤独とちゃんと向き合いたいから旅をしている」人もいます。
誰にも会わず、誰にも合わせず、ひとりで見上げた空の色や、風の音にふれたとき。ふっと、自分の“本音”が出てきたり、「これでよかったんだ」と思えたりすることもあります。
「いいね」より、自分の“内側”の声を大事にしている
旅先の写真をSNSにたくさん投稿する人もいますが、すべてが「見せたいから」「目立ちたいから」ではないはずです。
むしろ、
「誰にも言えなかったけど、これが私の癒し」
「ほんの一瞬の美しさを記録したかった」
そんな、自分だけの記憶を残すために写真を撮っている人も多いのではないでしょうか。
“映える旅”ではなく、
“自分にとって意味のある旅”をしている人は、とても多いのです。
「行動力のある人」ではなく「不安とうまくつき合ってる人」
旅行を繰り返す人を見ると、「すごい行動力だなあ」と驚くことがありますよね。
でも、それはもともと“大胆”な性格とは限らず、「じっとしていると不安になる」タイプの人が、不安と共に動いているだけかもしれません。
「何かをしていないと、気持ちが落ち込んでしまう」
「動いていると安心できる」
それを自分で理解して、うまく“旅”というかたちで折り合いをつけている。
そう考えると、旅に出る姿は、“自分を守る賢い選択”とも言えるのです。
あなたの中にも、“旅に出たい気持ち”はある
「旅行ばかり行く人って、すごいな」「私にはそんな余裕ないな」
そう思っても、心のどこかでうらやましさを感じるのなら──
あなたの中にも“動きたい気持ち”が眠っているのかもしれません。
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小さな遠出でもいい
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一駅分だけ歩いてみる
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ふだん行かないカフェに行く
そういう“小さな旅”が、自分を整えてくれることもあります。
旅好きな人に共感できないと感じたときこそ、「自分は、今どんな風に過ごしたいと思ってる？」と
そっと自分の気持ちに目を向けてみてもいいのかもしれません。
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コラム：旅に出たあの子の「ほんとうの理由」
以前、職場の後輩が「また旅行行くんです」と笑顔で話していたことがありました。
周囲からは、「お金あるね〜」と軽く言われていましたが、実はその後輩、仕事も家庭もかなりしんどい状況だったんです。
「家にいると落ち着かなくて…」
「旅に出ると、自分に戻れる気がするんです」
そう話してくれたとき、はじめて私は
「旅って、ただの娯楽じゃないんだ」と思いました。
その人にとって、旅は“息を吸うための場所”だったんですね。
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Q＆A｜旅ばかりする人、ちょっと気になるあの疑問
Q1：どうしてそんなに何度も旅行に行くの？飽きないの？
A：
実は、“旅そのもの”が好きというより、「旅の中で変化する自分」や「気づきを得られる時間」が好きという人が多いです。
毎回違う風景、違う空気、違う自分。
それがあるからこそ、何度でも行きたくなる。
飽きるどころか、「また新しい何かがあるかも」と思えるんです。
Q2：旅ばかりしている人って、現実逃避してるの？
A：
たしかに、「現実から離れたい」という気持ちが旅のきっかけになることもあります。
でもそれは、“逃げ”ではなく“休息”や“リセット”という意味での一時退避。
むしろ、しっかり現実と向き合っている人ほど、「整えてから戻る場所」として旅を選んでいることもあるのです。
Q3：旅行ばかりする人って、お金持ちなの？
A：
よくある誤解ですが、旅好きな人が必ずしも“お金に余裕がある人”とは限りません。
✔マイルや格安プランを駆使
✔日常の出費を抑えて旅に使う
✔近場のプチ旅を繰り返している
など、「旅を優先する生き方をしている」だけの場合もあります。
「お金があるから旅をする」のではなく、「旅をしたいから、お金の使い方を選んでいる」んですね。
Q4：ひとり旅ばかりしている人って寂しくないの？
A：
旅＝誰かと楽しむもの、と思われがちですが、ひとり旅には「誰にも気を遣わず、自分と向き合える」という大きなメリットがあります。
寂しさよりも、「自由」「静けさ」「余白」を大切にしている人も多く、むしろひとり旅でしか得られない気づきや感情の解放があるのです。
Q5：自分にはそこまで“旅欲”がないけど、それって変かな？
A：
ぜんぜん変じゃありません😊
旅に出ることで元気になる人もいれば、
家で過ごすことで整う人もいます。
大切なのは、「自分にとっての整い方」がどこにあるかを知ること。
旅をする人は、その方法が“移動”や“風景の変化”だっただけなんです。
Q6：旅をしたくてもできないとき、どうしたらいい？
A：
大きな旅行じゃなくても、「小さな旅」は日常に忍ばせられます。
✔ひと駅分歩いてみる
✔はじめてのカフェに入ってみる
✔自分の住む町を“旅人の目線”で歩いてみる
場所は変わらなくても、視点が変わるだけで、「日常がちょっと違って見える」瞬間はきっとあるはず。
旅についての疑問に答えてきましたが、最後に、旅の中で私が出会った“小さな言葉”の話を、そっと添えて終わりたいと思います。
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旅先で出会った“忘れられない言葉”
ときどき、旅の途中でふと交わした言葉が、何年たっても心の中に残っていることがあります。
それは名言でも、感動的なセリフでもないかもしれない。
でも、その時・その場所でしか出会えなかった言葉だからこそ、心の深いところに届いたのでしょう。
◆「ここ、いい風が吹くでしょう」
ある年の春。
日常に少し疲れて、気持ちを整えるためにひとりで山間の町に出かけたことがありました。
観光地というよりは、昔ながらの家並みと田んぼが広がる小さな町。
何をするでもなく、川沿いのベンチに腰かけていたとき、近所に住むというおばあさんが話しかけてくれました。
「ここ、いい風が吹くでしょう」
そう言って笑ったおばあさんの顔が、なんとも穏やかで、あたたかくて。
それだけの言葉だったのに、その瞬間、自分の中にあった“張りつめたもの”が、ふっとほどけた気がしたんです。
◆「旅って、わざわざ自分に会いに行く時間だと思うよ」
別の旅では、カフェで隣になった若い女性と、偶然の流れで話をすることになりました。
「何かから逃げてるのかなって思ってたんです、旅ばかりしてる自分が」
と私がつぶやいたとき、その女性が言った言葉。
「旅って、わざわざ自分に会いに行く時間だと思うよ」
ああ、そうか。
“旅に出る＝どこかに行く”じゃなくて、“自分に近づく”ことでもあるんだ。
目の前の風景じゃなくて、その風景の中にいる“自分の姿”を、確かめていたのかもしれない。
そう思ったら、少しだけ自分を許せた気がしました。
◆「おかえり、って言える場所があるから旅ができるのよ」
そして最後に。
これは実家に帰ったときに、母がぽつりと言った言葉です。
「また旅に出るの？」「落ち着かないわねえ」と言いながら、どこかうれしそうでもあった母。
「おかえり、って言える場所があるから旅ができるのよ」
そう言ったその一言に、思わず泣きそうになってしまいました。
.小さなひとことが、“心の灯”になることもある
旅先での出会いは、ふだんの生活では得られない偶然の連続。
でもその中に、たった一言でも、その後の生き方にそっと灯りをともすような言葉が含まれていることがあります。
もしあなたも、「旅がしたいな」と感じているなら、もしかしたらあなたに届く言葉が、どこかに待っているのかもしれません。
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旅好きな人に、かけたい言葉
「また旅行？」
「よく行くね〜」
つい、そんなふうに声をかけたくなること、ありますよね。
でもその言葉の裏に、少しの「うらやましさ」や「理解できなさ」や、「自分にはできないことをしている人」への距離感が、まじっていることもあるかもしれません。
それは悪いことじゃないけれど──
旅に出る人の心の中には、想像よりも深くて、静かな理由があることも。
そんなとき、こんな言葉をそっとかけられたら、きっとその人の心に、やさしい風が吹く気がします。
◆「いい時間になるといいね」
旅に行く理由を聞かなくても、応援している気持ちは、この一言でじゅうぶん伝わります。
「どこ行くの？」
「また？お金あるね〜」
よりもずっと、その人の心に寄り添う一言。
何をしに行くかよりも、“その時間が、その人にとって大切である”ということを認めるような、とてもあたたかい言葉です。
◆「気をつけて、たくさん吸い込んできてね」
この一言は、
“景色だけじゃなく、自分の気持ちも整えておいで”
というメッセージにもなります。
旅は、ただ遠くに行くことじゃなくて、心を満たすための“深呼吸”のようなもの。「楽しんできてね」よりも少し奥行きがあって、相手の“心の旅”を見守っている感じが伝わります。
◆「戻ってきたとき、話聞かせてね」
人は、誰かに「話してもいいよ」と言われると、その旅がより意味のあるものに変わることがあります。
どこに行ったか、よりも、どんなことを感じたかを、安心して話せる相手がいるって、とても大きなこと。それは「帰る場所があるよ」というメッセージにもなります。
旅に出る人の背中を、やさしく見送る視点
旅に行く人を、うらやましいと思ったり、理解できないと感じることも、きっとある。
でもそのとき、「その人の人生の、必要な一場面なんだ」と思えることが、やさしさなのかもしれません。
そしてもし、自分の大切な人が旅に出るときは、応援じゃなくても、無理に理解しなくてもいい。
ただ、あたたかく見守る言葉を、ひとつだけ持っていればいいのだと思います。
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まとめ｜旅に惹かれるのは、「生き方」に素直になっている証かもしれない
旅に出たくなる気持ちは、決して気まぐれや逃避だけじゃなくて、「今の自分を整えたい」「もっと自分らしくありたい」そんな、生き方に素直であろうとする心の動きなのかもしれません。
その人にとっては、旅こそが“深呼吸”であり、“栄養”であり、“希望”。
だからもし誰かが何度も旅に出ていたとしても、
「また？」と突き放すのではなく、
「いい時間になるといいね」と、そっと見守れたら。
そして、もし今のあなたが「旅に出たい」と思っているのなら、その気持ちを、どうかやさしく受けとめてあげてくださいね。
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