誰かといると安心するのに、ひとりの時間も大切にしたい。「ひとりが好き」だけど、「孤独はちょっと怖いかも」…そんな気持ち、あなたにもありませんか?
私自身、仕事や日常の忙しさから少し距離を置きたくなるとき、ひとりの時間がなによりの癒しになります。だけど、ふと夜に部屋が静まり返ったとき、心の奥にじわっと“さみしさ”が広がることもあるんです。
「ひとりが好き」と「孤独が怖い」――このふたつは、矛盾しているようで、実はどちらも私たちの中に自然に存在する気持ち。この記事では、その違いや重なり、そして“自分にやさしくなるためのヒント”を、やわらかく紐解いていきます。
ひとりでいるのが「好き」な気持ちとは?
自分のペースで過ごせる、という自由
「ひとりが好き」と感じる人は、自分のリズムを大切にしたい人が多いです。誰かと一緒にいると、気を遣ったり、話題を選んだり。楽しいけれど、ちょっと疲れることもありますよね。
だからこそ、ひとりの時間は心がのびのびと呼吸できるひととき。家で好きな音楽をかけながらお茶を飲んだり、本を読んだり、外に出て自然の中を歩いたり。
「誰にも合わせずに、自分で決められる時間」って、思っている以上に尊いものです。
心の充電タイムとしての“ひとり時間”
ひとりでいると、ふだんは気づかない自分の声が聞こえてくることがあります。「ああ、私こんなこと思ってたんだ」とか、「ちょっと疲れてたなあ」って。
誰かと過ごす時間は“交流の時間”だけど、ひとりの時間は“内側と向き合う時間”。それはまるで、自分をメンテナンスする“心の休憩所”みたいな存在です。
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どんな時に「ひとりでいたい」と思う?
ふと、ある少しの時間だけでも、ひとりでいたいと思うことは誰にだってあるはずです。みんなどんな時に人と距離を取りたくなるのでしょうか。
仕事で疲れた帰り道。誰とも話さず、ただ無音の部屋でぼーっとしたい。
人と一緒にいて楽しかったのに、あとでどっと疲れて、「やっぱりひとりの方が落ち着く…」って思う時がある。
休みの日、誰にも会わずにNetflixとコーヒーだけで過ごす時間が最高のご褒美。
深夜、静かな部屋でお気に入りの音楽を流して、自分の世界にこもる瞬間がすごく好き。
「今の私は何がしたいんだろう?」って、ひとりの時間じゃないと考えられないから。
共感する方も多いのではないでしょうか?ひとりの時間は、心がすーっと整う、大切な自分だけの場所なんですよね。
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「ひとりが好き」って、誤解されやすい【あるある5選】
「ひとりでいるのが好き」と言うと、「さみしそう」「付き合いが悪い」「変わってるね」なんて言われること、ありませんか?
本当は、ひとりで過ごす時間が心地いいだけ。誰かといるのが嫌いなわけじゃないし、孤独に耐えてるわけでもない。ただ、自分のペースを大切にしたいだけなんです。
でも――
そんな「ひとり好きさん」たちは、まわりからちょっと誤解されて、困ったり、もやっとしたりすることもあります。
ここでは、そんな“あるある”をいくつかご紹介します。もし「わかる…!」と思ったら、きっとあなたも“ひとりを心地よく感じられる人”なのかもしれませんね。
あるある①「ひとり好き=友達がいない」と思われがち
実際は、人間関係が苦手なんじゃなくて、“人といる時とひとりの時間のバランス”を大切にしてるだけなのに…!「いつも一人だね」って言われると、ちょっと複雑な気分に。
あるある②「誘っても来ないから、誘いにくい」と思われる
ひとりの時間が大事=付き合いが悪い人って思われることも…。本当は無理して行くより、元気で会えるタイミングを大事にしてるだけなんだよね。
あるある③「本当は寂しいんじゃないの?」って決めつけられる
「強がってない?」「ほんとは孤独なんでしょ?」みたいに言われてモヤモヤ…。“さみしさ”と“心地よいひとり”は全然別物だって、もっとわかってほしい。
あるある④グループ行動が前提の場で、気疲れしがち
飲み会、旅行、ランチ会…「みんなでワイワイ」が正解みたいな雰囲気にちょっと疲れてしまう。ひとり行動が“協調性がない”と見なされるのは本意じゃないんだよね。
あるある⑤「ひとりでも平気な人」は“何でも一人でできる人”と思われる
「どうせ頼らないでしょ?」みたいに言われるとちょっぴり切ない…。
ひとりで過ごせるけど、誰かに頼りたい時もちゃんとある。それを察してもらえないことが、少し寂しかったりする。
ひとりで過ごすのが好きでも、まわりからの目や思い込みに、ちょっと傷ついたり、困ったりすることってありますよね。ひとりが好き=孤立してる、寂しがり屋じゃない――そんなふうに「ひとり」を一色で決めつけず、その人なりの心の距離感を、もっとおおらかに受け取ってもらえる世の中になるといいな、って思います。
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「ひとりが好き」な人の割合と傾向
私はひとりが好き。ひとりで過ごす方が楽しい。と思っている若者はどれくらいいるのでしょうか。統計があるので一緒に見ていきましょう。
「ひとりが好き」な人の割合(博報堂調査)
年代 | 「ひとりが好き」と回答した割合 |
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全体 | 56.3%(2023年) |
20代後半 | 53.3% |
30代前半 | 59.5% |
30代後半 | 56.0% |
博報堂生活総合研究所の「ひとり意識・行動調査」によると、2023年時点で「ひとりでいる方が好き」と答えた人は56.3%で、1993年の43.5%から大幅に増加しています。
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年代別では、20代後半で53.3%、30代前半で59.5%、30代後半で56.0%と、若年層で「ひとりが好き」と感じる人が多い傾向があります。
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性別・未既婚別でも、すべての層で「ひとりでいる方が好き」が増加しており、性別や婚姻状況に関わらず「ひとり」を志向する人が増えていることが分かります。
「ひとりが好き」と感じる人の割合/引用元
▶ トラベルボイス記事(データのまとめ紹介)
出典URL:
https://www.travelvoice.jp/20231227-154708
▶ 博報堂生活総合研究所「ひとり意識・行動調査2023」
出典URL(ニュースリリース)
https://seikatsusoken.jp/newsrelease/20846/
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「孤独が怖い」と感じる瞬間とは?
ひとりがすき。でもその一方で、孤独がこわいと感じる気持ちも強くて…。私っておかしいの⁉って悩んだことはありませんか。ひとりが好きな人が増えている世の中で、孤独をこわいと感じる瞬間も同じように増えている、その理由を紐解いていきましょう。
誰にも必要とされていないかもしれないという不安
誰かと離れている時間にふと、「私、誰かにとって特別な存在なんだろうか」なんて、考えてしまうことってありませんか?
スマホを見ても通知がなくて、SNSにも反応がなくて。そういうときに、心にぽっかり穴があいたように感じるのが「孤独」です。「私は今ここにいるよ」って、誰かに気づいてほしい。そんな小さな願いが、叶わないときに、孤独は顔を出します。
孤独=“さみしさ+無力感”
孤独はただの「ひとり」とは違って、「つながれない苦しさ」がセットになっていることが多いです。それは、誰かといても感じることがある感情。
たとえば、にぎやかな集まりの中で、なぜか自分だけ話に入れなかったとき。心がキュッとなって、「ここにいるのに、いないみたい」って思うような、あの感覚。
孤独は、他人との“距離”よりも、自分自身の“心の居場所”が見つからないときに起きるのかもしれません。
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どんな時に「孤独」を感じる?
どんなににぎやかで楽しそうな人でも、あるいは、楽しそうに見えていても、それは演じているだけで実は孤独を感じている。ということもあるでしょう。心の中は誰にも見えません。ほんのちょっとした瞬間や、馴染めない人間関係など理由は様々。みんなは、どんな時に孤独を感じるのでしょうか。
SNSで誰かが楽しそうにしてるのを見ると、なんとなく自分だけ取り残された気分になる。
LINEの通知がまったく来ない日、スマホを見てちょっと切なくなる。
にぎやかな飲み会に行ったのに、話に入れず“ここにいる意味あるのかな”って思った夜。
がんばったことを誰にも褒めてもらえなかったとき。独り言が空中に消えていく感じ。
泣きたい夜に、頼れる人が思いつかない時。そんなとき、「ああ、私って孤独なんだな」って痛感する。
誰かといなくても平気だったはずなのに、ある瞬間だけ、ぐっと胸の奥がさみしくなる――そんな経験、きっとあなただけじゃありません。
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「孤独が怖い」と感じる人の割合と傾向
「孤独をしばしば・常に感じる人」の割合(内閣府調査)
年代 | 孤独を感じている割合 |
---|---|
30代 | 7.2%(最も高い) |
男性全体 | 5.1% |
女性全体 | 4.6% |
内閣府の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年)」によると、「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、男性が5.1%、女性が4.6%となっています。
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年齢階級別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合が最も高いのは、30歳代で7.2%となっています。
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また、孤独感を年齢階級別にみると、20歳代から50歳代で高い傾向があり、特に働き盛り世代で孤独感を感じる人が多いことが分かります。
「孤独が怖い」と感じる人の割合/引用元
▶ 内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年)」
出典URL(PDF):
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001398099.pdf
▶ 特定健診・保健指導ナビ(厚労省関連)
出典URL:
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2024/013074.php
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数字にあらわれない孤独も、きっとある
でも実は私、この「孤独の割合」がとても少ないことに驚いています。私も常に孤独を感じているし、世の中の人みんな寂しいんだと思っていました。思うに、こうした調査で出てくる「孤独を感じている人」の割合って、あくまで“自覚していて、かつ言語化できる人”の数字なんだと思うんです。
つまり、
✔そして、それを質問票に答えられる心の余裕がある人
だけがカウントされているんだと思うんですよね。でも実際には、その数字に含まれていない“言葉にできない孤独”を感じている人も、たくさんいるのではないでしょうか。
たとえば、
✔SNSを開いても、どこにも居場所がないように感じる夜
✔にぎやかな場所にいても、なぜかぽつんと心が浮いてしまうとき
そういう「小さな孤独」は、統計では測れないけれど、私たちの毎日に静かに寄り添っているものです。
だから、あなたが今「ちょっと寂しいな」と感じていたとしても、それはおかしなことでも、弱いことでもありません。
「私もあるよ」
そんな一言が、誰かの心をそっと軽くしてくれる。そしてその誰かは、もしかしたら今のあなた自身かもしれません。
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両方を感じることは“矛盾”ではなく“人らしさ”
「ひとりがいい」と「誰かといたい」は両立する
「ひとりが好き」と言いながら、急に人恋しくなったり。「誰かといたい」と思っていたのに、話すのがちょっと億劫になったり。
そんな風に、心の中に“相反する気持ち”が生まれるのって、もしかすると、すごく自然なことなのかもしれません。
感情は“グラデーション”でできている
私たちの気持ちは、白か黒かでは語れないものばかり。「楽しいけど疲れた」「うれしいけど、ちょっとこわい」みたいに、いくつもの色が重なっているものですよね。
「ひとりが好き」も、「孤独が怖い」も、その時その場の“心のグラデーション”の中にちゃんと共存してるんです。
ある日は、ひとりの時間がごほうびのように感じられて。またある日は、誰かの声が恋しくて仕方がない。そのどちらも、“本当のあなた”で間違いありません。
心は変わるからこそ、人は柔らかくて美しい
たとえば、風が吹けば空の表情が変わるように。心もまた、その日その時の出来事や体調、季節や時間帯で、どんどん移ろっていきます。
「昨日は大丈夫だったのに、今日はなんだか無理かも…」
そんな風に感じる日もあっていい。むしろそれは、“自分にちゃんと向き合えてる証拠”なのだと思います。
矛盾を抱えていることは、人間らしさそのもの
どんなにしっかりして見える人だって、強く見える人だって、心の奥には矛盾や揺れを持っています。
それを「わたしっておかしいのかな」と責めるより、「いまの私はこうなんだな」とそっと抱きしめてあげること。それが、自分らしくあるための第一歩になると思います。
ひとりが好きな私も、誰かといたい私も、どちらもちゃんと、わたし自身。その気持ちを許してあげられることが、心をやわらかくしてくれる“優しさ”なのです。
気持ちに名前をつけてあげよう
心の中のもやもやを整理したいときは、気持ちに「名前」をつけてみるのもいい方法です。
✔「今日は、ちょっとだけ甘えたい日」
✔「今は、自分を守りたい日」
そうすることで、自分の感情に優しくなれるし、“よくわからない不安”が、少しだけ輪郭をもってくれるようになりますよ。ぜひやってみて下さいね。
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おわりに
「ひとりが好き」と「孤独が怖い」そのどちらも、あなたの本音であり、大切な感情です。人とつながることも、ひとりで過ごすことも、どちらも心の栄養になるもの。
今は「ひとりが心地いいな」と感じたら、安心してひとりを選んでみて。「誰かといたい」と感じたら、そっと手を差し出してみて下さいね。
あなたの心が向かう先に、ちゃんと“あなたらしい幸せ”があるから。
【参考・引用元】
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博報堂生活総合研究所「ひとり意識・行動調査2023」
https://seikatsusoken.jp/newsrelease/20846/ -
トラベルボイス記事(2023年12月)
https://www.travelvoice.jp/20231227-154708 -
内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001398099.pdf -
特定健診・保健指導ナビ(孤独に関する解説)
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2024/013074.php